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振袖の柄の意味

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振袖こそ「柄の意味」を知って選びたい

私が成人した30年以上前、世の中はバブル景気にわいていました。 ファッションは、ボディコンシャス、肩パッドが当たり前。とにかくみんながゴージャスさを競い合うような時代でした。

そんな中、母親に連れられて呉服屋さんの振袖コーナーを訪れた若かりし私は、戸惑っていました。
母や祖母の着物姿は見慣れていましたが、ほとんどが紬だったので、華やかな振袖を前にしても、ピンと来ないのです。 第一印象で、「なんか演歌歌手が着る着物みたい……」と思ったことを憶えています。 当時は派手な格好が好きではなかったので、普段着も、ジーンズ(今はデニムっていうのかな?)にポロシャツと、いたってシンプル。 年配の店員さんに「どんな感じのが好きかしら?」と聞かれ、数ある振袖の中から最初に選んだのは、無地の着物でした。

最終的には、母や店員さんのアドバイスに従い、柄のある着物を購入することになったのですが、華やかな色合いのものをほとんど身に着けたことがない私が振袖を選ぶというのは、かなり無理があったなあ、と今でも思います。 同じような経験をお持ちの方って、けっこう多いのではないでしょうか。

呉服店のスタッフとなった今、若いお嬢さんたちには、ぜひ柄の素晴らしさを知った上で、振袖を選んでいただきたいと思っています。

振袖の古典柄

着物の柄は、古典柄とモダン派にざっくり分けられます。モダンについては以前取り上げたことがあるので、今回は古典について詳しくお伝えします。
古典柄とは、日本に古くから伝わる伝統的な文様のことで、さまざまな意味や願いが込められています。
お祝いの機会に着ることが多い振袖には、「吉祥文様」という縁起のよい柄が使われます。
着物の文様は、ほぼすべてに吉祥の要素があるといっても過言ではないのですが、振袖には特に、娘の未来が輝かしいものになりますように、という親御さんの願いが込められているのです。
代表的な吉祥文様をいくつかご紹介いたします。

束ね熨斗(たばねのし)

細長い帯状のものを数本束ねて、真ん中を結んだ図柄。帯状それぞれに文様が描かれるものもあります。昔はアワビの肉を薄く削いで引き伸ばして乾燥させたものを儀式に使っていたらしく、それを細長く折りたたんだ熨斗紙の間に挟み、延寿の願いを込めて、婚礼の結納品などに扱っていたのだそうです。

扇(おうぎ)、地紙(じがみ)

扇を広げた形や半開きの状態の図案。その形から「末広がり」として縁起がよいとされています。扇合わせ、扇流し、投扇興など、平安時代の貴族に好まれた優雅なイメージ。地紙という、扇子に貼る扇面形の紙に草花などを描いたものもあります。

薬玉(くすだま)

薬や香料を錦の袋に入れ、菖蒲や蓬の葉の造花で飾りつけ、五色の糸を長く垂らしたもの。古代中国から端午の節句の風習として伝えられ、さまざまな花を飾りつけた可憐な姿となりました。縁起よく「久寿玉」の字を当てることもあります。
お馴染みのくす玉に、実は薬が入っていたなんて、びっくりですよね!

鞠(まり)

平安時代に貴族が蹴鞠をして遊んでいたことから、高貴さや品を表現しています。心配ごとが丸く収まるように、という願いが込められています。子どもの着物の場合は、丸々大きく育つという意味もあります。私には要注意の柄かも(笑)。

貝合わせ(かいあわせ)、 貝桶(かいおけ)

平安時代の貴族の間では、蛤の内側に源氏物語絵巻などの蒔絵を描き、身と蓋の一対を探し当てる「貝合わせ」と呼ばれる遊びが流行。この貝を入れる六角形や八角形の縦長の桶は、結婚の縁起物とされていました。
蛤は噛み合わせに強い歯があるため、身と蓋がほかの殻とは合いません。このことから、夫婦円満の象徴とされています。

御所車(ごしょぐるま)、花車(はなぐるま)

平安時代の貴族が、宮中の儀式のときに乗っていた牛車。牛車だけど牛は除かれて、なぜかきらびやかな御所車だけが王朝文様として使われます。
四季の草花を華々しく盛り込んだ籠を積んだ車「花車」と組み合わされることも多いです。

七宝(しっぽう)、亀甲(きっこう)、麻の葉(あさのは)

円の円周を4分の1ずつ重ねて繋げた七宝。亀の甲羅のような正六角形を上下左右に連続させる亀甲。成長の早い大麻の葉の形に似た正六角形を繋げた麻の葉紋。
いずれもどの方向にも限りなく続けられることから、縁起がよいとされています。

水、波、青海波(せいがいは)

すべての生物の源となる水は、流水や川などの形で人間の命を表します。清らかで、苦難や災厄を流してくれる存在。
波は、果てることのなく広がること、また生まれ来る胎動を表し、誕生、永遠、不滅、長寿の意味。
扇形状の波が繰り返される青海波は、穏やかな海を表し、「人々の幸せな暮らしがいつまでも続くように」という願いも込められています。

松竹梅(しょうちくばい)

四季を通じて鮮やかな緑を保つ松、まっすぐにすくすく伸びる竹、先駆けて寒中に花を咲かせる梅。「逆境にあっても自分が正しいと信じたことを守る」という中国の精神的な理想を基に、日本では江戸時代以降、おめでたい柄の代表格になりました。

菊の群生地から流れ出た水を飲んだ人が長寿になったという中国に伝わる伝説から、長寿の象徴とされています。

桜の語源は、「さ」は『田(稲)の神』、「くら」は『蔵、倉、鞍』などを意味し、ただきれいなだけでなく、五穀豊穣を祈るモチーフとなっています。
日本の代表的な花は梅とされていましたが、宮廷で桜花の宴が催された平安時代以降は、華やかな桜の花が人気となっています。

いかがでしたか? まだまだ振袖に使われる吉祥柄はたくさんあります。
こうして柄の一つひとつに込められた意味を知ると、振袖を見る目が少し変わってきませんか?
平安時代から脈々と受け継がれてきた縁起物を身に着けて、大人への第一歩を踏み出す……。
振袖を着ることで、たくさんの存在が自分を応援してくれているという誇らしい気持ちも味わっていただけたら幸いです。

参考文献
「キモノ文様事典」藤原久勝著 淡交社

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「和楽庵」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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