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絹のみち【郡是製絲】

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文:富澤輝実子

日本の絹を掘りおこしてご紹介するシリーズです。
前回、富岡製糸場と片倉製糸をお話させていただきましたので、今回は「郡是製絲」についてご紹介したいと思います。

日本を代表する巨大製糸会社【郡是(ぐんぜ)】

群是製絲の郡是は「ぐんぜ」と読み、現在は「GUNZE(グンゼ)」の名前でアンダーウエアや靴下で私達になじみ深いメーカーです。もともとは日本を代表する巨大製糸会社でした。この漢字の社名には深いわけがあって、それは現在でも「社是」「本是」などの言葉が示すように「郡の目指す正しい道」という意味が込められています。「郡是」は郡是製糸発祥の地で創業者の生地、京都府何鹿(いかるが)郡の発展を目指す道を意味しているのです。

私は平成末に取材で「グンゼ」発祥の地にお伺いしました。京都駅から山陰本線で2時間くらい乗ったと思います。京都府の綾部というところの広大な敷地に郡是製絲がどのくらい大きな製糸会社であったかを物語る産業技術史的な資料館(大正時代に使っていた白壁造りの繭蔵を改造したもの)が建ち並んでいました。ことに興味深かったのは創業蔵に展示されていた作業時の姿や器具でした。初期の木製の八丁撚糸機は初めて見るものでした。また、「グンゼ博物苑」には蚕の食べる桑の栽培がなされていて、桑の種類の多いことを改めて知ることができました。今一度行きたいところです。

創業者、波多野鶴吉

「郡是製絲」の創業者、波多野鶴吉は江戸末期安政5(1858)年に土地の大庄屋・羽室家に生まれ、母方の養子に入って波多野姓となりました。
明治29年、波多野鶴吉が38歳の時郷里の小学校で教員をしていましたが何鹿(いかるが)郡の蚕糸業組合組合長に推され、蚕糸の道に入ることになりました。
地域(郡)の人々の生活向上のためにと「郡是」を社名に決めて製糸会社を起業したのです。

明治29年創業というのは製糸会社の起業としては特別早くはありません。日本の三大製糸会社のうち、前回ご紹介した「片倉製糸」は明治6年に長野県(現在の岡谷市)で創業、「鐘淵(かねがふち)紡績」(カネボウ)は東京の墨田区鐘ヶ淵で明治20年に創業しています。

「良い製品を作るには良い人材が必要だ」創業者、波多野鶴吉の哲学

明治9年全国で87工場だった器械製糸工場が明治12年に655工場、明治44年に2500社、大正13年に3600社と目覚ましく拡大する製糸業界でした。

幕末、ヨーロッパ・英仏向けに輸出されていた生糸でしたが、郡是製絲が創業した明治29年にはすでにアメリカに多く輸出され米国は世界最大のマーケットとなっていました。米国で求められていたのは「力織機用の強い経糸」でした。
ヨーロッパでは高級品は手織り機で織っていた時代です。郡是製絲では当初から米国輸出用の最上質の「力織機用の強い経糸」の生産を目指しました。
波多野鶴吉は「良い製品を作るには良い人材が必要だ」と社内での全人教育に力を入れ、工場での一日の作業が終わると寄宿舎で夕食後、工場内の夜学で女学校並みの教育をしていまいました。郡是は近隣の人たちから「あそこは表から見ると工場だが、裏から見ると学校だ」と言われていたそうです。たしかに、郡是の業績は急拡大に伸び、たちまち関西一の製糸会社となったのです。

 

戦後、衣生活に変化・きもの人口の激減

しかし、昭和14年に米国の化学メーカー「デュポン社」がナイロンの工業化(大量生産)に踏み切り、米国での生糸需要は激減しました。それまで、日本の生糸で生産していた絹の高級ストッキングがナイロン製になったのです。その後昭和16年12月8日、日米開戦となり、日本の生糸輸出の命運は尽きました。

昭和の戦後は女性の衣生活に劇的変化をもたらしました。男性は明治以降早くに衣生活は急変して洋装が定着していたのですが、女性は長く着物を手放さず洋装になる人は都会的な一部の人でした。ことに地方では顕著でしたが、戦後は事情が一変、女性の社会進出とも相まって、洋装化に歯止めがかからず、きもの人口は激減しました。

昭和40年代の嬉しいきものブームの到来もあって、いっとき息を吹き返しましたが、現在、着物愛好者は目立った増減は見られず落ち着いています。

グンゼはシルク事業からは撤退しても「シームレスストキング」や「パンティーストッキング」の爆発的流行を呼び寄せて、さらにプラスティック事業や医療分野にも進出するなど、製糸業で蓄えた高度な技術を核にして多種多様な分野で発展しています。

▢横浜シルク物語
https://www.warakuan.jp/blog/chiebukuro/2753.html

▢絹の未来
https://www.warakuan.jp/blog/chiebukuro/2728.html

 

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