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訪問着の着用シーンと着こなし

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文:富澤輝実子


着用シーンと着こなし

結婚式、園遊会、茶会に選びたい模様

古典的で格調高い「御所解き模様」「正倉院の文様」「有職文様」「草花風景文様」「琳派文様」などを友禅で表現した訪問着は式服として通用します。ですから、紋を付けられますし、立場によりますが、結婚式のような最高の格式を持つ儀式から、家元がお出ましになる格の高いお茶会、公的機関主催の大規模な園遊会やパーティ、恩師の賀の祝いなど、ほとんどの祝賀会にお召しになれます。

帯の選び方<

帯は格調高い袋帯がふさわしいでしょう。亀甲、七宝、蜀江、扇面、瑞雲や波、光琳水などの祝意を含む文様や正倉院の宝物からの文様(鳳凰や宝相華、花喰い鳥や狩猟円文など)は、着物の模様とよく調和してくれますので、利用範囲が広く重宝なものです。
帯〆は平打ち(平組)の高麗組や唐組、笹波組などで由緒の感じられるものを選びます。
帯あげは綸子地に絞り模様のものや無地、縮緬や綸子のぼかし染めも素敵です。年代にもよりますが総絞りも華やかさがあってよいものです。

モダン好みの方は

モダンな模様の訪問着をお好みの方は、そのデザインと色使い、生地質から品位を感じられるものを選ぶとよろしいのです。上質であることがキーワードです。この場合は帯もモダンに合わせると装いが決まります。

帯上げの選び方

帯上げの色選びですが、フォーマル系の装いでは淡い色目を選びます。カジュアル系の装いでははっきりとした色を選ぶと装いが引き締まります。

おしゃれ訪問着の場合

紬地に絵羽模様を染めで表した「おしゃれ訪問着」や、すくい織りで絵羽模様を表現した「織り絵羽」というおしゃれ着があります。位置づけとしては、古典的な訪問着よりカジュアルとされています。ですから、紋を付けて式服とすることはめったにありません。ただ、生地が縮緬類に比べると軽いことと、模様が古典的なものも豊富なため年配の方にファンが多いようです。お正月恒例の初釜の席でも、茶の湯のキャリアが豊富な年配のお客様がお召しになっているのを見かけます。帯合わせは「しゃれ袋帯」と呼ばれている、いくぶん軽い生地に少し趣味的な文様が織り出されている袋帯や、更紗柄などが染められた袋帯が良く似合います。
帯〆は少しカジュアル目の平打ちや無地の「ゆるぎ組」などでよいでしょう。
帯あげは綸子や紬地に少しだけ絞りの入ったものや無地がよいでしょう。

帯の種類について

現在最も多く用いられているのは「錦織」の袋帯です。錦織は主に多色使いで文様を織り出したもので、文様の種類は多種多様です。帯幅に大きな文様が1列織り出されているものを「ひとかま」、2列織り出されているものを「ふたかま」、3列を「みかま」と呼んでおり、おおむねですが、ひとかまは振袖や留袖用、ふたかまは訪問着用とされています。

「つづれ織」も品位が感じられる帯です。つづれに関しては、袋帯でなくとも式服に着用できることになっています。それは、つづれ織の特別な織り技法によるものです。つづれ織は強く張った経糸を模様に合わせて色を替えながら細い緯糸ですくうようにして織り進みます。そして、仕立てるときは袋状にせず帯の両端をかがって、八寸なごやと同様にして用いるのが普通です。ポイント柄でも格調高い模様であれば訪問着に用いられます。
「唐織」の袋帯も愛好者の多い帯です。唐織は能装束写しのものがよく知られますが、独特の地風とゆかしい文様とで訪問着にふさわしいものがたくさん見られます。
「しゃれ袋帯」は上記のような格調高い文様(蜀江、亀甲、七宝、正倉院写し、有職文など)ではなく、もっとカジュアル感のある文様と地風が特徴です。例えば、ふくれ織の帯はしゃれ袋の代表的なひとつです。合わせるきものは「おしゃれ訪問着」「御召」「紬」まで幅広く用いられます。帯芯を入れずに仕立てることもできますから、軽くて締めやすいところも好まれる理由でしょう。

重ね衿の種類と用い方

重ね衿を使ったほうが素敵な場合といけない場合

訪問着はたいてい全体に華やかな模様が付いています。衿にも付いていることが多いようです。ですから、重ね衿は一般的には必要ありません。

●使ったほうが良い場合
1.全体に模様が少なく淋しいと感じる場合は目立つ色の重ね衿を合わせるとくっきりと華やかさが出てきます。
2.重ね衿大好きな方は、訪問着の地色に近い濃い色か薄い色を選ぶと上品できれいに調和します。あるいは衿にある模様の一番目立つ色でも大丈夫です。全くかけ離れた色は全体の調和を乱しかねませんので危険です。
●使わないほうがよい場合
1.全体に華やかな模様が描かれた訪問着には重ね衿は必要ありません。かえって衿回りがごちゃごちゃした印象になります。もし、どうしても重ね衿を入れたい方は、目立たない色をそっと入れて下さい。
2.模様は華やかでも色目が落ち着いて静かな印象の都会的な訪問着の場合は、重ね衿を使わないほうがスタイリッシュで素敵です。もし、どうしても入れたい場合は、目立たない色をそっと入れることをお薦めします。
3.最も使わないほうがよいのはお茶会のときです。お稽古に訪問着をお召しの方はないと思いますので…。お茶会では、寄付きでお仕度をすると思いますが、胸に袱紗と懐紙、場合によってはお包み(お祝いなどの金封)を挟みます。席入り後、お菓子を取り廻すとき、お茶をいただくとき、お道具拝見の際などたびたび袱紗と懐紙を使います。その際、重ね衿があると袱紗・懐紙の出し入れの時に一緒に出てきてしまいます。すると所作がもたついたり、あわてたはずみに、思いがけない失敗をしがちです。お茶会の着物姿では席中でのお辞儀の所作が大変美しいものですが、衿元に色衿が重なっているとちょっと騒々しく感じます。静かな情緒を楽しむ場面にはふさわしくないように思います。

重ね衿の合わせ方

重ね衿には、振袖用の華やかな色の無地がほとんどです。また、金銀を濃い地色のものと重ねて用いる例も見られますが、個性が勝ちすぎて調和がとりにくいようです。
無地の重ね衿は、一般的によく見られるのは振袖用のものです。訪問着に用いる場合は、次の点に注意して選ぶとよいのです。
訪問着の地色の共濃い、共薄の色目を選ぶと失敗がありません。
●訪問着が薄色地の場合:重ね衿は訪問着の地色より濃い色を選ぶ
●訪問着が濃い地の場合:重ね衿は訪問着の地色より薄色を選ぶ
●衿にある模様の中の最も目立つ色に合わせる
●衿にある模様の中で最も目立たない色に合わせる
上記の4点を考えながら、実際の訪問着に重ね衿を当ててみます。そして、ご自分の気持ちが「あ、いい感じ」と素直に思えるものを選びます。違和感のある場合は別のものを当ててみるとよいでしょう。

要注意の色

先ほどの、金銀を重ねる場合はお出かけ先を選びそうです。まず、お茶会は遠慮したいですね。若い方が大多数のいわゆるパーティでしたら華やかで個性的でよいかもしれませんが、古典的な訪問着には合いません。モダンなスタイルで決める場合には衿だけでなく全体のトータルコーディネートが必要ですね。また、トルコブルーやピーコックグリーンなどもきものの地色と調和のとりにくい色ですので注意が必要です。

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