着物レンタルは良質・お手頃価格、安心フルセット宅配の「わらくあん」

0120-25-3306

受付時間/10:00 ~ 17:00

着物ブログ

振袖でご親戚・ご友人の結婚式に出席する方へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TPOに合わせて小物を換える?

先日、友人のお買い物にお付き合いをしました。職業柄? 買い物に付き合ってくれと頼まれたんですが……さて、何を買ったのか?
それは、振袖の小物です。

成人式を終えたお嬢様の振袖の小物を一式買い換えるというので、「ランチおごる」に釣られて付き合ったのですが、理由を聞いたら、従姉妹(友人の姪)の結婚式に出るからだと。
同じでいいじゃない? と聞いたのですが、やっぱり成人式とは違うからというのです。その友人は、いまだにママさんサッカーでピッチを駆け巡っているスーパーウーマンで、常に何かの資格をとるための勉強に忙しそうにしている回遊魚のようなママ友で、そのパワーとバイタリティーがどこから来るのか? 何を食べて生きているのか? と、不思議になるようなエネルギッシュでスポーティーな女性で、私も尊敬している友人の一人なのですが……
一方で、お茶やお花も師範級。なんでも小さな頃から習っていたそうで、ピアノにお琴もできて、留学経験もあって英語もペラペラの彼女。そんな世界視野の彼女は、冠婚葬祭とか、入学式とかそんな時に入れる「気合い」もハンパないんです。

曰く「成人式は真理(娘の名前)が主役だけど、結婚式は舞(従姉妹の名前)が主役だから」というわけで、半衿、伊達襟、帯揚、帯締、バッグなどを買い換えるというのです。なるほど、さすがだと思いました。着物は、好きにオシャレに好みのままに着ていい場合と、そうでない場合があるということを彼女は、小さい頃からおばあ様やお母様からしっかりとたたき込まれて育っているので、ごく自然に「主役」とか「脇役」などということを言うんだなと。

「役割の着物」と「役柄の着物」とは

私は、着物には役割の着物と役柄の着物があると思っています。TPOとかコーディネートとひと言で言っても、状況によってルールや、気持ちや、配慮すべき物事がまったく変わってしまう。
たとえば、「結婚式用にレンタルしたいんですけど、何を着ればいいですか?」と聞かれた場合、すぐに答えられません。答えは黒留袖に格の高い袋帯かもしれませんし、訪問着でも良いのかもしれません。まず結婚式の会場の格。どこで結婚式を挙げるのか? もう一つ言えば、結婚式に出るのか? 披露宴だけに出るのか? そのいずれにしても会場がどこなのか? これは重要です。なので私はいろいろと、根掘り葉掘りお客さまにお伺いするのです。
そしてもう一つ、一番大事と言っても過言ではないのが、新郎新婦との関係です。「仲良しで〜す」とか、「LINEでつながってま〜す」とか……、そういうことじゃなくて、続柄ということ。
花嫁の母親ならば黒留袖に格の高い袋帯となりますが、花嫁の友人ならば同じ会場で執り行われる結婚式だとしても黒留袖に格の高い袋帯は着用しません。

「黒留袖は嫌いなの」とか、「黒は似合わないから赤留袖にしたいわ」というのはあり得ません。これが、最初に申し上げた、「役割の着物」というわけです。一方で、ご主人と歌舞伎を見に行くとか友達と旅行に行くとか、こちらは「役柄の着物」で、ある一定の常識と教養の中でほぼ自由におしゃれを楽しむことができますが、「役割の着物」は、自由におしゃれを楽しむというよりは、花嫁の母としてとか、仲人としてとか、そういう自分のその日の役割をきちんと果たすための衣装という意味合いが濃くなります。

堅苦しい、難しいと思わないでくださいね。それこそが、美しい日本の文化だと私は思うのです。世界中、どこを探しても(王室、王族にはあるかもしれませんが)、誰かの幸せを寿ぎ、衣装を身にまとうというすてきな文化がある国があるでしょうか? ま、私はハワイとグアムくらいしか行ったことがないので、そういう国が、世界のほうぼうに、あるかもしれないんですけど……(汗)

「お二人の門出を祝ってこの衣装を身にまとう」ってすてきだと思いませんか? 現代において、衣装とか、ファッションというのは(ファッション雑誌の特集にしても)、そもそも、自分が美しく見られるために、自分がすてきに見られるために、こういう自分に見せたいためにおしゃれをするじゃないですか? そうじゃなくて、「寿ぐ気持ちを装いに込める」っていうのがすてきだと思うのです。

だからこの仕事をしている! と言っても過言ではないほど、私はこの仕事に誇りを持っているのです。お客様の衣装を選びながら、どこへ? どんなお立場で? と聞きながら衣装選びをしていくのがとても幸せだな〜と思えるのです。

振袖と「おもてなし」の心

いよいよ2020年。東京オリンピック、パラリンピックが始まります。その熱心で精力的な誘致活動の時に、今、小泉進次郎議員と結婚をされてお腹に赤ちゃんのいる滝川クリステルさんがすてきなスピーチの中で「お・も・て・な・し」とおっしゃったのはあまりにも有名な話。何度もニュースやワイドショーでその部分が取り上げられましたよね。もしかして流行語にもなったんでしたっけ?そう、「おもてなし」って私の大好きな言葉の一つなんですが、その三要素…… 「おもてなしの三要素」って皆さまご存じですか?
装い 室礼(しつらえ) 振る舞い の三つなんです。
その「装い」に携われることをすごく誇りに思っているのです。そして、「振る舞い」も、当然のことながら、着物を着用することで、おのずと変わってくることがありますよね。結婚式に列席する、あるいは参列するのはかならずしも、「おもてなし」とイコールではありませんが、「おめでとう」「末永くお幸せにね」「ご両家のますますの弥栄を祈念します」と、前に出て挨拶をしなくても、装いにそうした万感の思いを込めるというのが、とてつもなくすてきなことのように思えるのです。
色や文様にも意味を見いだすのは、日本人の、そして日本の衣装の最大の特徴とも言えます。お宮参りの産着(掛け着)や七五三の着物には、男の子なら鷹とか兜(かぶと)とか龍など、女の子なら毬(まり)とか御所車とか、束ね熨斗とか……、すべてその文様には意味があって、願いが込められていますよね。
(その一つひとつの説明はまた機会があったらいたしますね)

結婚式に参列する時の振袖は、例えば、成人式とは違う色にしたい。これアリだと思います。そして、もちろん似合う色、文様。これも当然のこと。ただ、会場の格や、結婚式なのか? 披露宴だけなのか? あたりは、ちょっと配慮していただきたいな〜なんて思います。そして、何よりも、成人式の時と思いや祈りや願いが違うと思うのです。

新郎新婦へどんな言葉を贈りたいですか? どんな願いを込めて振袖をまといたいですか?
振袖に描かれている文様の多くは吉祥文ですので、どれをお召しになっていただいても縁起が悪いということは絶対にありませんが、「永遠の幸せを願って」だったら、永遠を意味する波の文様……波は、寄せては返し、寄せては返しから永遠を意味するとか、七宝つなぎもまた永遠を意味します。「早く元気な赤ちゃんを産んでね」なんて思ったら、子孫繁栄を意味する唐草があしらわれた振袖を選ぶとか……、ほらほら♪ もう、なんだか猛烈に楽しくなってきませんか〜?(書いている私が楽しくなってきました 笑)
ドレスでは、どんなに豪華なドレスを着ても、ブランドのドレスを誂えたとしても、絶対に表現できない、味わえない、着物ならではの装いの奥の深さや楽しみがあるんです。そんな通好みの着物の悦びや楽しさを、この際、味わってみてはいかがでしょうか〜?

似合う似合わない、ルールはどう? そうしたことはとても大切なこと。きちんとしたいと思います。似合うものを着たいと思います。でも、それだけじゃなくて、着物ならではの楽しみを知れば、きっと結婚式がとてもすてきな時間になると思うのです。すてきな思い出になると思うのです。自分の祈りや、願いや、思いを装いに込める。そんな楽しさをご一緒に見つけにいらっしゃいませんか。

カテゴリー