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色使いを自在にした染色技法「友禅染」

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着物の色柄・技法は種類がいっぱい!

「着物って、す〜っごくたくさんの色とか柄の種類がありますよね! その上、染だの織だの技法もたくさんあるみたいだけど、まだ全然わからないし……。この間、着付け教室仲間の友人に連れられて展示会に行った時も、あまりにたくさんの着物が並んでいて、あちこち目移りするばかりで。でもその中で、見た瞬間に華やかさと優雅さにパッと目が釘付けになった一枚の着物があったんです。近づいて見ていたら、お店の方が『こちらはユウゼンの訪問着。作家さんの手描きです。お目が高いですね』って言われたんですけど……。ユウゼンって何ですか? 恥ずかしくてその場では聞けませんでした〜」

お友達に誘われて、着付け教室に通い始めたばかりという着物初心者のお客様 Aさん。先月からお店に遊びにいらしては、着物についての質問をしてくださる好奇心旺盛な20代後半の美人さんです。今日もお友達と一緒にご来店くださいましたので、着物を見分けるためのプチ講座、開催です!

大きく分けて二種類「染の着物」と「織の着物」

着物の技法的種類として「染の着物」と「織の着物」の二種類に大別されるというのは、ご存知の方多いかと思います。風合い的にざーーっくりいえば……

「染の着物」は、
白生地を織ってから、生地をやわらかく練り(精練)、染色を施す「後練り、後染め」の「やわらかもの」。友禅染、型染の他に、絞り染もこちらの分類に入ります。

「織の着物」は、
先に糸を練り、染色してから織る「先練り、先染め」の「かたもの」。紬や、御召、銘仙などがこちらに入ります。

「なんとなーく、スベスベやトロリとした手触りのやわらかい染物と、ザックリした張りのある感じの織物。そのくらいは、わかる気がします~」とうなずいてくださるAさん。では、その先に進みますね。

色柄を自在に操れるようにした染色技法「友禅染」

先ほどAさんが「ユウゼン」と言われたものは、「友禅染」という染色技法で描かれた着物のことです。

染色技術は人々の暮らしと共に様々に発展してきたのですが、まずは糸を染めて織った織物が発展しました。唐の国、いまの中国から多くもたらされたという染織技術も、織の物が多く見られました。

のちに、染で表現する技法が発展しますが、その元となるのが絞ったり、板で挟んだり、ロウを垂らしたりして、防染をすることで思うような柄を描きました。

友禅が登場したのはいつかというと、江戸時代に入ってから。きものの歴史からいうと、わりかし最近のこと、という感じもしますよね。それまでは、なかなか緻密な絵を描くのは難しかったので、絞りの上に刺繍で細かな表情が足されたりしていました。

そこに登場したのが宮崎友禅斎という京都の扇面絵師。彼の描く扇面の図柄の人気が高かったため、着物の柄にも取り入れてみよう!という、コラボ的発想がされたのかもしれません。染織業界の人でなかったからこそ、染料の使い方も従来とは違う工夫ができたようです。特に、隣り合う色が混ざらないようにするための防染技術として、輪郭線上に細く防染糊を置く技法を用いたため、思い描く絵柄を自由に表現できるようになったと伝えられてきました。

これは染色も印刷も発展して、世の中に色が溢れる今となっては当たり前のようですが、当時としては本当に画期的な技法の誕生だったでしょうね。とはいえ、実は裏話もあって、人気絵師だった友禅斎にあやかったネーミングだっただけで、技法そのものの発明は宮崎友禅斎によるものと裏付けされる資料がない、ともいわれています。今となっては真相は闇の中。それだけ、友禅斎のネームバリューが高かったのかもしれませんね。

友禅染めの染色工程

「草稿」
まずは図案を考え、紙に描いたものを布に描き写します。あとで水でおちるツユクサ科の青いインクを使うのがポイント。

「糸目糊置き」
モチ米などの防染糊を作って、先の細い筒の先で図案の輪郭をなぞります。ここが、染料の防波堤になるわけです。

「色挿し」
輪郭線の中を、それぞれの染料で染め分けます。小さな刷毛、大きな刷毛と使い分けての緻密な作業です。

「蒸し」
色が生地に定着するように高温の蒸気で蒸します。

「糊伏せ、地染め」
色がついた柄の上に糊を置いて伏せ、次に地色を刷毛染めします。

「水場」
さらに地染めを蒸して定着させたら、不要な染料、糊を落とすべく水場で洗い流します。洗いが終わると、防染糊の跡が細く白く残される「糸目」が、友禅染の特徴の一つです。

乾燥して、地の目を整えます。
場合によっては、さらに次の加飾として金彩、箔置き、刺繍、紋入れなどの加工が足されます。

三大友禅は京都、加賀、東京

なるほど。人の手がそれだけかかっているから、繊細なのに華やかで、奥行きある表現となっているんですねー。ますます興味が湧いてきました!」と可愛い目をキラキラさせているAさん。そこで、もう少しお伝えしたくなったのが、三大友禅の特徴と魅力についてです。

華やかさが魅力の友禅は、京都、加賀、江戸という華やかな町の文化の中で愛され、それぞれの個性が磨かれてきたため、いまもそれぞれの魅力を感じられますよ。

まずは「京友禅」ですが、何といっても一番華やかですね。派手な色柄に刺繍、金彩、箔、鹿の子絞りなどといった加飾がこれでもかとばかりに使われています。

次に「加賀友禅」。こちらは、加賀地方特有の曇天の空気をそのまま反映したかのよう。少しくすみのある臙脂、藍、黄土、草緑、古代紫の「加賀五彩」とよばれる五色使いが最大の特徴。図案はどこまでも写実に寄った表現。京都と違って加飾はされません。必ず、組合に登録した作家が落款を押し、作品の品質を保証しています。

最後に「東京友禅」。江戸好みの青みを帯びた落ち着いた色調が特徴です。京友禅と違い、ほとんどの工程を作家一人の手によって仕上げられています。江戸文化やモダンなデザインが多く、江戸友禅、東京手描友禅ともいわれます。

各地の特徴に少しずつ変化も見られますが、やはりそれぞれの良さを知ると、選ぶときにもより楽しんでいただけると思います。

和楽庵のレンタルなら、手描き友禅も気軽に楽しめます

現在、友禅染着物には手描きによる作品だけでなく、型を併用した「型友禅」や、シルクスクリーン、インクジェットなどの新たな技法に手助けされたリーズナブルな作品も増えてきています。

けれども、たまにしか着ない礼装。一度着たら目立つパーティーシーンでの着物は、レンタルをうまくご活用いただきたいところ。和楽庵のレンタル着物には友禅染のお品もあり、中には友禅作家さんによる手描きの逸品も取り揃えていますので、憧れの作家さんの作品、一生に一度の晴れ姿のために自信を持っておすすめさせていただきます。選ぶのに迷ってしまうという方にも、TPOとお客様の個性にお似合いの一枚をお探しいたしますので、お気軽にご相談ください。

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「和楽庵」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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