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着物の「宝尽くし」の文様

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吉祥文様「宝尽くし」


着物にはいろいろな文様がありますね。文様と言ったり、模様と言ったり、柄と言ったりしますが、その使い分け方って意識をしたことがありますか〜? まぁ、それはまた別の機会に書くとして、世界の各地で「文様」は生まれ、受け継がれてきました。

しかし日本ほど多種多様な文様を持ち、その文様に、願いや祈りを込める国はさほど多くないのではないでしょうか。日本人はかつて八百万の神々を畏怖(いふ)し、巡る季節と自然との共生をとおして、かすかな木々のざわめきや、風のささやき、星のきらめきにまで、心を動かされてきました。そしてそれらを巧みに描き、身にまとい、尊んできました。命よりも大切なものが多かった時代、描かれた文様一つひとつに、大切な人への深く強い思いや祈りを込めたのかもしれません。四季のある日本の文様は、本当にすばらしいですね。もちろん、大陸から渡ってきた文様もたくさんあって、好きな文様のことを徹底的に調べたり、学んだりしてみると、新しい発見があるかもしれません。

さてそんな中で、「宝物」を集めた文様で、留袖や訪問着、振袖などのいわゆる晴れ着によく描かれる文様をご存じでしょうか? 「宝尽くし」という文様なのですが、もう、この言葉を聞いただけで、いったいどれだけ有り難いんだ〜? と思ってしまいますよね。カニ尽くしとか、松茸尽くしとかの上を行きますね(笑)

さて、吉祥文様の「吉祥」は仏教用語で、「繁栄」や「幸福」を意味します。「吉祥天」という美しい女性の神様は「幸福」「富」「美」を表しますので、言うことなし! のめでたい文様という意味になります。その中でもこの「宝尽くし」は、縁起の良い宝物を具象化して集めた文様ですので、吉祥文様の最高峰かもしれません。こちらも中国から伝来した文様ですが、その詳細を一つひとつ見ていくと、中には日本で生まれた文様もあり、時代ごとに少しずつ変化をしているというのもおもしろいところ。これから生まれる宝尽くしには、スマホ文様とかがあったりして〜?

さて、その宝尽くしですが、ただでさえたくさんの文様の集合体なのに、さらに松竹梅も重ねて描かれることが多く、これらの他、宝珠、軍配、達磨、鶴亀、牡丹、珍しいところでは鯛や狛犬なども同時に描かれることがあります。
よく似た文様で「宝船」にもたくさんのお宝が見て取れます。宝物が船に乗ってやって来るめでたい文様で、栗が燃えているような文様が「如意宝珠(にょいほうじゅ)」。もちろん仏教に由来します。この炎の部分、仏具や仏画で見たことがありませんか。珠は龍が持っていて、打ち出の小槌(こづち)のように「何でも出せる」ということから、転じて願いを叶えるという意味があります。

「宝尽くし」の柄の意味

隠れ蓑(みの)と隠れ傘

さて、宝尽くしの文様の意味をご紹介しますが、まず最初が「隠れ蓑(みの)と隠れ傘」です。日本で生まれたとされる文様で、読んで字のごとく、姿を隠す道具であることから、病や災難から身を隠してくれるという意味を持っています。平安時代の書物にも宝物として描かれてるんですよ〜。隠れ蓑はもともとは天狗の宝物で、天狗のような秀でた才能を得られるという意味もあったとする説もあります。いずれにしてもとても貴重なものだったことは間違いなさそうです。

金嚢(きんのう)

「金嚢」は、「こんのう」とも呼ばれ、また「宝袋(ほうたい)」ともいわれます。いわゆる巾着です。当然、中にはお金や財宝を入れますが、これも日本で生まれた文様で、もちろん金運アップの願いが込められていますので、宝くじを買いに行くときなどは、マストかも!?

打出(うちで)の小槌(こづち)

誰もが一度は読んだことがある?(読んでもらったことのある)一寸法師に登場! auのコマーシャルでも登場しましたね(笑)。その一寸法師に登場するすばらしい道具ですので、誰もが親しみを覚える文様かもしれません。自分の身体を大きくしたり、何でも出してくれる!? どんな願いも叶えてくれるというスーパースペシャルな道具! 七福神の大黒様も持っていますので機会があったらチェックをしてみてください。

丁字(ちょうじ)

丁字は香辛料のひとつです。シルクロードを通ってさまざまな香辛料が高額で取引されていました。その昔、香辛料は薬としても用いられ、それぞれとても貴重なもの、つまりお宝だったというわけです。
丁字は今の名前でいうとクローブですね。ハンバーグを始め、カレーやロールキャベツ、デミグラスソースなどを作るときに使うアレです。源氏物語の中では、「丁子染め」として登場します。フトモモ科の木ですよ〜。丁子染めは色が染まるだけでなく、香りがするので「香染め」なんて呼ばれています。縁起としてはやはり、健康の願いを込めて〜というところでしょうか。

七宝(しっぽう)

円(まる)がつながっていることから円満が続くという縁起の良い柄で七宝文様と呼ばれます。七宝は、もともとは金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)、真珠(しんじゅ)のぶっちぎりの七つの宝を意味していますので、コレひとつで7つ分ということで、縁起の良さも7倍ですね。

ご覧になった方は「え〜、なんでこれが鍵?」と思われる方もあるかもしれません。今の時代の鍵とは随分カタチが違っていますよね。実はこれは蔵の鍵のカタチを図案化して文様にしたもので、富の象徴とされる宝。つまり蔵を意味しています。単独で描かれることはあまりありませんが、金運の願いを込めて裏地などに染めてみるのもいいかもしれませんし、青年実業家の方などは、羽裏に鍵を施してみたりして、事業の発展を願うなんてちょっとカッコイイ気がします。

巻物

お経であったり、その家に伝わる奥義であったり、いわゆる書物ですので、知恵や知識の象徴です。紙はとても貴重なものでしたし、読み書きができるのは大変なことでした。巻物となればどこの家にもあったというものではなく、やはりこれも最高の宝物だったのです。今の時代だったら、受験生にはもってこいの吉祥文様という気がしますね。

祇園社

祇園社、今の京都は八坂神社のお守りで、誰もが参拝できる時代ではなかったその昔はとても有り難い宝とされていました。今も、八坂神社のお守り紋にはこの印がついています。毎年夏に大賑わいになる、山鉾で有名なあの「祇園祭」は、八坂神社のお祭りです。

分銅

昭和30年か40年代くらいまでに生まれている方なら、小学生の時に使ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 授業は多分理科ですね。そう、これは天秤で使われる「おもり」のことで、金銀をたくさん持っていることの象徴として分銅が描かれたのでしょう。現在の銀行を表す地図記号がこの分銅のカタチなのが興味深いですね。

まだまだたくさん面白い文様がありますが、今日のところは「宝尽くし」で皆さまの幸せを祈願して♪

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「和楽庵」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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