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憧れの加賀友禅

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女性に人気の伝統工芸都市「金沢」

「着物で行きたい街」の上位にいつも君臨している金沢。なんとなく……、根拠のないイメージですがことのほか女性に人気があるような気がしてなりません。皆さんは金沢と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

金沢は、加賀友禅をはじめ、九谷焼、金沢箔、金沢漆器、金沢和傘、和紙、水引、仏壇、お表具、手鞠……、など、もう、枚挙にいとまがないほどたくさんの伝統工芸が残っている歴史ある都市です。また自然も美しく、前田家が加賀藩を築いて以降、なんと一度も戦火に遭っていないため、歴史と伝統を当時のまま残しているところがまた、魅力の大きな一つになっていますね。おまけに、加賀野菜、加賀料理と、食文化も魅力的なので女性にとって言うことなし! なのはもう、当然のことです。

とりわけ、着物ファンにとっては「加賀友禅」というのは格別な思いがある方も多いのではないでしょうか? 昨今、スーパーマーケットなどに行くと、肉でも野菜でも「作り手の顔が見える」というのがひとつのブランドになっていて、ポップには顔写真まで出ているようなものもあります。畑の中で泥だらけの大根を抱えているおばあちゃんの笑顔なんて、大根が美味しそうに見えちゃいますよね〜。

さて、加賀友禅ですがその「作り手の顔が見える」という点では、多種多様な着物の中でもダントツ! なんせ、落款(らっかん)という、作家それぞれのハンコみたいなものが共八掛のところにしっかり捺されているわけですから、どの作家さんの作品なのか? というのは落款帳を見れば一目瞭然。これ以上に作り手の顔が見える着物もはない! というほど明確なのです。

勝手に捺しちゃえば良いかな? と思ったらそうはいかない。この落款を持っていることこそが、一人前の加賀友禅作家を名乗るための条件で、そのためには、師匠の下で最低7年以上の修行をして、二人以上の加賀友禅作家の推薦がなければ、候補に挙がることすらできない厳しい世界ですから、自らの作品に落款を捺すっていうのは、とても名誉な誇らしいことですし、製造元が明らかに分かるという点で言えば、たいへん大きな責任とも言えるわけです。

「加賀友禅」の特徴と魅力

友禅といえば、京友禅も有名です。三大友禅となればそこに東京友禅も加わって、「友禅三都ものがたり」なんて言われたりしますね。まぁ、金沢に都(首都機能)があったことは歴史上はないわけなので、これはイメージ的な標語のようなものなのでしょうね。その始祖は、宮崎友禅斎といずれも同じルーツを持つわけですがそれぞれに歴史が違います。京友禅や東京友禅はまた今度、詳しく紹介するとして、今回は加賀友禅です。

京友禅が「悉皆屋(しっかいや)」と呼ばれる、まあ、いわゆるプロデューサー的な仕事をする人によって、意匠考案、青花、下絵、彩色、色挿し、縫い、箔とそれぞれ専門の職人のところへと運ばれて、完璧な分業体制で作られるのに対して、加賀友禅はその落款を持った一人の作家が一貫生産をします。もちろん、弟子がいる場合手伝いはしますが、基本的に分業制度をとっていないという大きな違いがあります。

そして、とっても不思議なのは、金沢には「縫い」も「金箔」も伝統工芸としてソコにあるのにもかかわらず、加賀友禅には縫いも箔も施さず、彩色だけというのが不思議で仕方がありません。昨今はいろいろな作品がありますが、ざっくりと見分けるなら、染めただけのものは加賀友禅、染めた後に刺繍や金箔を施してあるのが京友禅と、本当にザックリですがそんな区別の仕方もあります。

あとは意匠の違いが顕著ですね。京友禅は、具象化された文様で染め疋田(ひった)などを用いてハッキリとした文様を描きます。御所解文様や茶屋辻文様なんていうのも京友禅らしいですね。華やかで公家好み。一方で加賀百万石のお膝元、武家文化の金沢で作られる加賀友禅は、昨今でこそ具象化された図案を描く作家もいますが、基本的には絵を見るがごとく写実的で、北陸の自然に題材を求めたものも大変たくさんあります。木の葉の模様に墨で、虫に喰われた跡を表現する「虫食い」などは、加賀友禅の最大の特徴かもしれません。きれいなところを描くのではなく、ありのままの自然をそのまま描写する。ありのままの自然こそ美しい。ということなのでしょう。ほぼ均一な糸目の線で表現されることの多い京友禅に対して、加賀友禅の糸目は濃淡潤滑まで表現するような、太さの不均一が絵画性の強いものが多く、艶麗な華やかさを求める京友禅に対して、無骨な力強さを感じる作品、温もりを感じる作品と作家によって多岐にわたっている楽しさや面白さ、可憐さが感じられるのが加賀友禅の特徴ですね。

ドレスで言えば、レースやスパンコールがたくさんついたイメージが京友禅だとすれば、タフタのシンプルなドレスが加賀友禅といったところでしょうか。加賀友禅の似合う人は、個人的にはとても教養高く、品が良い人のような気がしています。加賀友禅の似合う女性になりたいと、切に願いますが、メイクやヘアスタイルではごまかせない、何か、着る人の内面まで映し出してくれるような高邁さや清廉さを感じ、なんとなく特別な感じがしてしまうのです。

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「和楽庵」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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