お探しは「可愛い訪問着」
パーラーで……あ、今の若い人はカフェって言うんですかね？ 変な顔のクッキーが頂上に乗った、紫やマゼンダや蛍光黄色など原色のクリーム？ がのったパフェを「やばい〜〜〜」「かわいぃ〜〜〜」「映える〜〜〜」って言いながらスマホで撮影してすごく楽しそうにしている女子たちを見かけました。微笑ましい光景だなぁと思う一方、「可愛い」の定義は難しいなぁと思いました。
ちなみに、「やばい」も、以前はとても状況がよくないとき使う言葉だったんですが、最近、すてきな着物を見つけた時に「やば〜〜い」っておっしゃる方、増えてきました。褒め言葉と分かっていても、ちょっぴり変な感じがします。
さて、最近「可愛い訪問着ありますか」と聞かれることが多くなってきました。そして、可愛い訪問着をお出しすると首をかしげて私の目をじっと見るお客様。そうなんです。「可愛い」の定義が広すぎて、その方によって「可愛い」と思われるものが以前よりも範囲が広くなっているようなんです。
一般的には、可愛い訪問着ですと、圧倒的に地色は濃地よりも薄地が多く、よく言う「パステルカラー」というのを可愛い訪問着としてお出ししているのですが、昨今は洋服感覚のビビッドな色も含まれるようで、また文様によっては黒地の訪問着でも「かわいい〜〜〜」のお声を聞けることもあって、なかなか難しいですね。お話しをする中で、少しずつお好みやイメージを伺い、絞っていきながら、お客様のおっしゃる「可愛い訪問着」に早くたどり着けるようにご提案をしています。
そして、これまた一般的なことですので、必ずしもそうでないものもありますが、文様が大きいものよりも、小付けのもののほうが「可愛い」という印象になりそうです。ただし、身長や体型によっても似合うものは違ってきますので、必ずしも大きな文様が可愛くないか？ といえば、大きな文様でも可愛いものは可愛い！ 結局何が言いたいのかわからなくなりそうですが、可愛い訪問着を探していらっしゃる方には、文様は圧倒的に花が人気です。
大人可愛い着物姿とは？
もう一つ、とても苦慮するのは「おとなかわいい」というご要望です。「大人可愛い訪問着ありますか〜？」と尋ねられたら、「はい（多分）ございます」とお答えしつつ、もはやお手上げです。というのは、先ほど上の方に書いたように、時代によって「可愛い」の定義や解釈は違うわけですが、それと同時に年齢によっても「可愛い」の捉え方は違っていて、20代はどれをお召しになっても年配者から見ればやっぱり着物をお召しになっているだけで可愛いのです。そして、「大人可愛い」訪問着にするためには、お召しになる方の立ち方、歩き方、所作全般と相まって、大人可愛くなるわけで、20代の方がお召しいただくだけで可愛くなるようには参りません。
30代、40代、50代と、年齢が上に行けば行くほど可愛くなるためのハードルは上がっていきます。特に中高年は、女性として内面を磨かなければなぁ〜と思うのです。先日お亡くなりになった八千草薫さんは88歳で膵臓がんだったそうですね。ずっと清楚でかわいらしい印象の八千草さんがそんなお年とは思わず、ちょっとニュースを聞いてビックリしてしまいました。とてもお美しい方でしたし、88歳になられてもかわいらしかったですよね。着物姿も美しく、凜としているのにとてもかわいらしかった。
可愛い訪問着が似合うようになるには、可愛い訪問着を選ぶこと＋自分磨きなのかもしれません。
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「和楽庵」スタッフY（50代 女性）
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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