カラオケ発表会で何を着る？

私が呉服店に勤務していることは友達の間で有名なのです。だって、自分でしゃべっているのですから。当然ですね。だから相談が多いのです。しかも、自分で言うのもなんですが、結構面倒見がいいし、頼られると頑張っちゃう。そして、「相談してよかったわ〜。ありがとう」なんて、言われると本当にうれしくて。時々余禄で「御礼」といってチョコレートとかきて、それもうれしい。もちろん、それが目的ではないですけどね。

そんな私のところに、とうとうやってきました。「カラオケ発表会で何を着ようかしら」のお問い合わせ。
問い合わせてきた、みなちゃんは私の中学校時代の同級生。仲良しグループだったからちょくちょく連絡していたけれど、旦那さんのお仕事の関係で今は東海地方に住んでいるから、あんまり会えないのです。趣味でカラオケをやっているとは言っていたけれど、発表会があるなんて！　なるほどねえ。カラオケ教室の生徒さんは総勢37人。それぞれがステージで歌うのだそうです。華やかでしょうね〜。

桜柄の振袖

そのステージで何を着るのか。これは大きな問題ですね。なにしろ自分が主役の舞台です。というか、その舞台、自分にしかスポットライトは当たりません。だから、自分に似合った思い切ったステージ衣装がいいですよね。しかも、歌う曲のイメージに合ったものがいいでしょう。みなちゃんもそれで悩んで電話をしてきたというわけです。
何を歌うのか聞いたら、桜がテーマの演歌ですって。だったら、もう間違いなく着物ですね。演歌歌手のステージ、確かに華やかなドレスもあるけれど、やっぱり着物がいいでしょ。情緒があるもの。だから、おすすめしました。着物を。訪問着もいいし、小紋もいいし。

そうしたら逆に「成人式のとき以来、着ていない振袖をもう一度、振袖を着たい」と言われました。確かに演歌歌手は訪問着で歌うこともありますけど、年齢に関係なく振袖を着ていますよね。雰囲気に合っていてとても素敵。帯も個性的に結んでいたり、帯締で遊んでいたり。着慣れた大人の雰囲気です。

さて、そこでみなちゃん。「娘の成人式のときの借りるのって、どうかなあ？　着る機会ないし、もったいないじゃない？」
だめです。それ。絶対に。だって、娘さんの振袖ってきれいなピンクだったはず。
「だって、桜がついていたわよ」。みなちゃん、桜がついていればいいってもんじゃないのよ。同じ桜でも地色が紫や黒と、ピンクや赤、黄色では全然違うのよ。しかも演歌を歌うんでしょ。満開の桜が咲き誇っているのもいいけど、花びらを描いたものや桜をイメージさせるような色使いとかで表現するのが大人。振袖も今の自分に似合うのを選ぶのです。20歳のときともうすぐ還暦の人、雰囲気全然違います。むしろ、その大人の雰囲気を活かせる振袖を選ぶことをおすすめします。

その問題、レンタルで解決

そこで、レンタルにいいのがあるので、教えてあげました。ほら、こういうのどう？

それとも、こんなのいかが？　ちょっと甘め。舞台が明るくなる感じです。

振袖は華やかでいいです。だから、カラオケ発表会だけではなく、自分が主役のパーティ（例えば還暦のパーティとか）、華やかさが求められる海外でのパーティにはとても向いています。また、仲間内で“振袖パーティ”もありですね。それこそインスタ映えします。大人振袖、思う存分着こなしてください。

ところで、着用後、同じ振袖を着る機会はほとんどありません。特に発表会やパーティでは次回同じものを着ることはできません。着てはいけないというルールはありませんが、写真に残っていますから、「あら、同じもの着ている」と他の人に言われそうです。1度だけの舞台衣装。贅沢ですが、このくらい許されるでしょう！　レンタルならば。
しかも、レンタルであれば、着用後のお手入れは自分でしなくても大丈夫です。助かる〜！の一言です。一式でレンタルすることで帯や小物のコーデに悩むことはありません。

そして、もう一つレンタルのメリット。保管場所がいらないということですね。金塊を自宅に保管しているお宅は別として、家の中で最も高価なものは空間。特に都市部では貴重です。土地代に建物代、さらに桐たんす代など、着物の保管にはお金がかかります。それが一切かからないのです。振袖一式って、結構場所をとるから、いいですね。

気をつけるのは一つ。レンタル期間です。借りるときに確認してください。特に着用日が決まっている場合、前に借りて一度確認し、当日を迎えます。着用したその日のうちに返却をするのは難しいので、返却はどうしても翌日になるでしょう。返却までに余裕をみるとせわしくないから楽です。

今回は粋に決めたみなちゃん、来年はどうするのかな？　舞台の成功を祈っているよ。頑張ってね。

そして、大人振袖、着てみようかなと思われた皆さま、ぜひぜひ挑戦を。素敵な大人が増えれば、素敵な国になると思うのです。素敵な大人、万歳！　大人振袖、万歳！

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「和楽庵」スタッフY（50代　女性）
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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