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刺繍の着物 その種類と魅力

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刺繍は芸術品

先日、お友達にイイコトがあったので、「お祝い」という口実(?)で、気の置けない女友達同士で食事に行って来ました。なんでこんなに笑えるのか? なんでこんなにおいしいのか? ほんと、不思議です。普段よりもちょっといいところへ行こうって決めたときからもうわくわく。仕事は目標とか締め切りがあると頑張れます。というか、そういうのがないと頑張れない。締め切りが無いことはついつい先に延ばしてしまいますわ。

で、お友達が見つけてくれたそのお店、フレンチなのに和の設えですごく雰囲気が良いんですよ。半個室みたいになっていて、最高でした。そこにすてきな絵がかかっていて、ちょっと目が釘付けになってしまったので、ギャルソンに「すてきな絵ね〜」なんてちょっと気取って言ってみたら、「ありがとうございます。刺繍なんですよ〜」って言われてちょっと職業柄恥ずかしかったです。

私が絵と間違えてしまったのは日本刺繍ではなかったのですが、陰翳とか濃淡とか、本当に刺繍とは思えない精緻なもので、ちょっと部屋が雰囲気良く薄暗かったので本当に絵に見えたんです。職人とかマエストロとか芸術家の「手」はすごいなぁ〜と改めて思った出来事でした。

着物の刺繍の種類

さて、着物にも刺繍を施したものがあります。特に京友禅の着物に多いのですが、大きく分けるとどうでしょうか? 私が知っているだけでもかなりの種類があります。

京繍(きょうぬい)

平安時代に始まった刺繍で、主に十二単に施されていました。今は、京友禅に多く見られます。

江戸刺繍

東京友禅にも施されている、クッキリハッキリキッチリした江戸の粋。お相撲さんの化粧まわしにもよく見ることができます。

駒縫(こまぬい)

ちょっと太めの金糸を細い金糸で丁寧に縫い付けていく技法で、縁取りなどによくみられるポピュラーなもの。

相良縫(さがらぬい)

相良縫は玉を作りながら糸を刺していきます。玉縫いとも呼ばれます。一説によるといぼ縫いとか、こぶ縫いとかいう人もいるようですが、ニュアンスはよく分かりますね。一定の大きさの玉を並べるのは高度な技術が要るのですが、とても美しい刺繍です。着物に独特のニュアンスを与えてくれる、なんとも女性らしいキュートな刺繍。もともと中国三大刺繍の一つなんです。

中国三大刺繍の残りの二つも書いておきますね。

蘇州(そしゅう)刺繍

蘇州刺繍は、読んで字のごとく、蘇州で2500年も昔から続いているという ……、と言っても中国では千年や二千年じゃ誰もビックリらしいですけど……。蘇州は刺繍の街らしいです。いつか行ってみたいけど上海からまだ200キロも離れているらしいです。と言っても中国では200キロなんて近所かも?

もしかしたら見たことがある人がいるかもしれないですよ〜
中華料理店とか、麻雀屋さんとか(行かないですよね〜)で、牡丹の絵とか、あと動物! 毛並みが普通じゃ無いほどリアルなあれです。

汕頭刺繍

もう一つは汕頭刺繍。日本では「スワトウ刺繍」と表記されるほうが多いです。こちらは広東省。中国広いです〜
ヨーロッパの宣教師が刺繍技術を伝えたことで、西洋と東洋が融合した独特の進化を遂げたんですね〜。もともとは木綿や麻に施されていたようですが、着物ファンの皆さまは大島紬で見かけることがあるかも。単衣でお召しになると最高にエレガント。私も大好きです。

刺繍の着物でワンランクアップの装い

いずれにしても、髪の毛よりも細い糸で輪郭や、絵を描くわけですから、ものすごい手間と技術が求められます。どの刺繍も筆で描くスピードに比べると一針、一針ですからかなり手間もかかります。根気と技術の両方を求められる仕事です。

それゆえに、訪問着や花嫁衣装によく使われるのでしょう。刺繍は、たびたび奢侈禁止令(ぜいたく禁止令)で、禁じられたほど、高価で格の高い物なのです。それだけに女性たちの憧れだったのでしょうね。昔は貴族や公家にしか許されていなかったほどですから。しかし、奢侈禁止令で絶滅してしまわなくて本当に良かったと思います。

機会があったらご覧いただきたいのは、なんと言っても舞妓さんの刺繍半衿。こちらは、布に対して刺繍をされている部分のほうが多い! というぜいたくで立体感のあるものです。これだけで「財産」というほどの見事なものが多いので、いつまで眺めていても飽きません。これもまた衿でありながら芸術品ですね。

少し品の良い装いをしたいとか、格の高い装いにしたいとか、相手やその会、場、状況に対して敬意を表したいという場合は、刺繍を施した着物は格別の雰囲気を与えてくれることでしょう。
個人的には白い布に白い絹糸で刺繍をするという感じの同系色の刺繍が好きです。

お茶席など、長時間正座をするとか、何度も立ったり座ったり(畳の上に)するという場合は、裾模様に刺繍があると擦れて傷みます。できれば立っているシーンが多いお出かけや、座るにしても椅子席のところへのおでかけをお勧めいたします〜。

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「和楽庵」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
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