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バッグ/袋物のトリビア

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文:富澤輝実子

バッグを持っておでかけ

着物姿で外出する際はどなたもバッグをお持ちになると思います。帯地などでこしらえた和装用の上品なバッグの方もありますし、洋装用の革製のものを愛用される方も多いことでしょう。大きさもA4サイズの書類が入るくらいの実用性重視の大きなものから、おしゃれ感あふれる小型のものまでお好みは様々なようです。夏になると浴衣に竹製の籠バッグやカジュアルな巾着袋を持っている方も見受けられます。浴衣に籠バッグや巾着袋を持つ姿は楽しそうでいいですね。

むかしは風呂敷で包んでおでかけ

バッグや袋物を手に持って外出するようになったのは割合最近なのです。それでは荷物や身の回りの物は何に入れていたかと言いますと、荷物は大きくても小さくても大抵風呂敷でした。風呂敷は並幅の木綿布を何枚で作るかで大きさは変えられますので大小様々なものが用途に合わせて使われていました。並幅二枚でしたら「二幅(ふたの)」と言って70㎝正方くらいですから、私達が現在も日常で用いるサイズですね。四枚でしたら「四幅(よの)」でちょっと大きめの風呂敷です。お茶会の時などにお道具を運ぶ際に重宝していることでしょう。五枚でしたら「五幅(いつの)」と言ってお布団がくるめるサイズです。風呂敷をなぜ風呂敷というのかはこの次お話しするとしまして、ここでは昔は品物を何に入れていたかのお話をいたします。風呂敷に入れたものは小さければ手に抱え、持てないほど大きなものは背負いました。浮世絵などに風呂敷に包んだものを肩に背負って歩く人がたくさん出てきます。何を運んでいるのか考えるだけでも楽しいものです。

着物にはしまうところがいっぱい

風呂敷に入れるほどでもない小さなものは身に着けました。着物はしまうところがいっぱいあるのです。まず帯の間、袂(たもと)、胸元(むなもと)、懐(ふところ)などに入れていました。今でも、帯の間に様々なものを挟んでいる方をお見掛けします。講演会のカタログやチケット、財布や入場整理券などを挟んでおくと、いちいちバッグにしまうよりもずっと楽ちんです。それ以外では、男の方は財布や煙草入れに凝っておしゃれの見せ場としたことが今に残されているコレクションで見ることができます。

袋物を手に持つようになったのはいつから?

袋物を手に持つようになったのは、明治になってから西洋の文物に親しく触れて、手に持つ袋物が便利なものと感じたことがあると思います。信玄袋の流行があり、女性用ではオペラバッグがおしゃれな方々に愛好されるようになって、バッグは一般化していきます。現在のようにスマホやカード類、たくさんのメイク道具、書類など持ち歩きませんので、バッグは小さなもので十分間に合ったのです。
1973(昭和48)年、美しいキモノ編集部で編集者人生が始まった頃、撮影用和装バッグは日本橋にあった老舗袋物商「中村清商店」でお借りしていました。上質で高級な和装バッグがずらっと並んだ店内でテーマに合わせてバッグを選ぶことは楽しいことでした。とにかく上等な品物ばかりなのです。材質も縫製も使い勝手もよいものでしたね。たったひとつですが中村清商店製のオペラバッグを求めて大切にしています。小型のがまぐちタイプでワインレッドのレース生地のものです。ときどき眺めて名店の仕事を味わっています。

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