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海外茶道デモンストレーションの思い出【エストニア】

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文:富澤輝実子

エストニアに到着!

前回はフィンエアーでフィンランドの首都・ヘルシンキに到着して入国審査を終え、いよいよ目的地エストニアの首都・タリンに向けて出発するところまでお話ししました。今日は、続きをお話しします。
エストニアはバルト三国の一番北にある国で、北欧の風情が感じられる清潔な国です。現在はIT先進国で知られ、2018年には安倍首相もエストニアを訪れていらっしゃいます。
タリンの空港に到着した私たちを大使館の方が待っていてくださいました。大使館に伺って大使と大使夫人、文化担当のスタッフの方々とご挨拶ののち、早速茶道デモンストレーションの打ち合わせです。大使館すぐ隣の大使公邸が最初の会場でした。広やかな応接間に四畳半分の畳を敷き、茶室の雰囲気に調度を整えます。おおよその茶道具は大使館の備品で間に合いますから、点前座に茶道具一式を準備し、水屋の用意も怠りなく進めます。床の間に見立てた壁面に茶掛けを飾り、その前が正客の席です。周りにご来賓の椅子席を設えました。ふすまなどの建具はありませんから、亭主や客の様子は来賓からよく見えます。主賓は当時の現職大統領夫人、お隣は前大統領夫人です。続いて閣僚と夫人や令嬢、駐エストニア各国大使と夫人などの外交団が並ばれました。

デモンストレーションの準備

さて茶会のデモンストレーションが始まります。お正客の駐エストニア日本国特命全権大使夫人がお席入り。続いて次客(詰めも兼務)の富澤が席入りしました。ひと呼吸置くと半東役の松原志津枝先生が小振袖姿でお菓子を運んでいらっしゃいました。日本から亭主の桂宗裕(かつら・そうゆう)先生が手持ちで運んできたお干菓子です。来賓席にもお菓子は運ばれています。ほどなく茶道口に亭主が水指を前にお座りになってご挨拶。主客ともにお辞儀をすると来賓席はシンと静まり、茶の湯の雰囲気になりました。亭主の桂先生は語学堪能で美貌、お人柄も抜群の茶人で知られる方ですが、お点前は水の流れのように滑らかで、日本画を見る心地で進みました。正客は亭主の勧めにこたえてお菓子をいただき、干菓子盆を次客に送りお茶を待ちます。一服目が正客の前に運ばれて服加減の挨拶が済むと、陰点(かげだて)の薄茶が賓客に次々と運ばれてきます。皆様、ほぼ初めての茶の湯体験だったと思いますが、お茶とお菓子を味わうこととともに、茶席で出会う書、画、陶芸、漆芸、木工、竹工芸、染織工芸などの品々、そしてお辞儀に代表される作法に込められた「日本」あるいは「日本らしさ」を感じていただけたようでした。その時の大統領夫人、前大統領夫人、大使夫人にお着物を着付けたのが松原先生でした。富澤はアシストにつきました。素晴らしい着物姿は大統領夫人のフェイスブックに掲載されてとてもお喜びのご様子が伝わってきました。

大満足の結果に!

エストニアでは国立美術館や国立図書館、大学の講堂など計7か所でデモンストレーションを行いました。大使公邸でのデモンストレーションとは異なり、お客様は100名単位で大勢様です。お手伝いに現地の女子大学生がボランティアで集まって下さいました。そのお嬢様たちに着物を着ていただきたくて、持参した振袖などを毎回汗だくになりながら着せ付けて、陰点の薄茶のお運びをしていただきました。女学生はたいてい元気溌剌な体形です。胸も腰もボリュームがあって魅力的ですが、着物の着付けには工夫が必要です。松原先生はそれを見越して「長襦袢は難しいのですべて半襦袢使用」さらに「半襦袢の脇縫いはほどいて自由」にし、どのような体形の方にも対応できるよう工夫したものを手作りされました。なんとそれは大正解! 襦袢の衿が開いて困るということがなかったのです。どのお嬢様も本当に可愛い着姿になって支度をした私達も大満足しました。エストニアでは2泊し、次にラトビアに移動となりました。

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