茶の湯の着物:塩月弥栄子監修「お茶席のきもの」|わらくあんみずもちsince1941 富山
〈茶の湯の着物〉
婦人画報社が平成5年12月20日別冊美しいキモノが発刊されました。「お茶席のきもの」監修・塩月弥栄子をぜひ参考にしていただけたらと思います。時代を経て世の中の環境が変わる中、日本人として大切なメッセージだと感じました。
「お茶席のきもの」茶会歳時記と着物 監修:塩月弥栄子
「花鳥風月」「雪月花」に象徴される日本の自然美。春夏秋冬の、穏やかであり厳しくもある季節の情趣を詞歌に詠み、衣に映して愛でる日本人独特の美意識。茶の湯の心もまた、訪れる季節に心を馳せ、去りゆく自然のあらわれに余剰の美を反映させています。時節の情趣を蒸溜して狭小の茶室に薫らせる折々の茶会。茶の湯の四季の約束ごとは、きものの装いにも相通じます。茶趣、しつらいを心得た着こなしが美しく映えます。
「お茶席のきもの」を参考に十二月にふさわしい着物を記載します。
【一月】
清新の気が満ちあふれる初釜の情趣。静かで厳粛な新年の儀式。
新年を祝し合うおめでたい新春行事。威儀を正し、華やかさをたたえた装いで。
●若い方【振袖・訪問着】
●年配の方【訪問着・附下・色無地・色留袖(比翼なし)】
【二月】
冷然と静かな露地に行燈の灯り。凍てつく寒夜に枯淡の茶趣。
静寂な冷気に揺れる燈火の炎。心尽くしのもてなしに、暖色の装いが茶席を和ませる。
温かみのもてなしと灯りの趣を愛でる茶会。利休七則に「夏は涼しく冬は暖かく」亭主への心遣いとして暖かさを感じる色のきもの。
●年代に関係なく、燈火に映える、暖色系の色目【訪問着・附下・色無地】
【三月】
菜の花を捧げて偲ぶ茶会。王朝の古を偲び、雅な趣を飾る雛の釜。
水ぬるみ、草映える早春譜。春の訪れに胸さわぐ気持ちを、きものの色柄に託して。
春の到来、雛との逢瀬、偲ぶ忌の一期一会。
●雛まつり:女の節句らしい雅で華やかな道具のとりあわせ【訪問着・附下・色無地】
●利休忌:3月27日、28日の両日は利休忌が催されます。 ゆかりの寺大徳寺で三千家の法要が営まれます。仏前には必ず菜の花を一束が捧げられることになっています。【無地感覚の附下・色無地】
※「利休忌」は、主に表千家と裏千家で大きな行事として執り行わられています。旧暦の2月28日が命日ですので、新暦になおすと3月か4月になるのですが、取り決めで、毎年、表千家が3月27日、裏千家が3月28日に行うことになっています。利休忌以前には菜の花を茶室には用いない。夜の光をもたらす燈心油のもとで菜種への感謝の心を、菜の花かざりの遠祖の法要にことよせて表したものだと伝えられてます。
【四月】
うららかな陽光を浴びながら、花の香に酔い、春風にたわむれる惜春の茶趣
春を讃え、春を惜しむ。咲き競う花々の自然美を優先しつつも、際立つきものの装い。
短命の春のはかなさを思う、四月の茶趣。野の草を引き立てるような装いが美しい。
●花々の中で引き立つ、様式化された古典柄【訪問着・附下・色無地】
【五月】
清々しく、清涼に気分一新。夏の初めの正午の茶趣。
立夏を迎えると、陽ざしも気分も、もう夏。きものは袷でも清々しさのある装いを。
●初風炉から茶席の装いは夏模様【重厚過ぎない訪問着・附下・色無地・ぼかし染め】※帯は薄手。
【六月】
席中の涼、露地の涼、取り合わせの涼。雨音さえも爽快に聞こえる梅雨の茶事。
降りけぶる雨に濡れて、露地の苔もひときわ鮮やかに、更衣の楽しみもこの月ならでは。
すだれ越しの涼こそ風炉茶事の情趣。
●六月九月は透けないシャリ感のある生地【附下・色無地・ぼかし染め】※帯は薄手。
【七月】
まだ明けやらぬ薄ねずみ色の刻に、暑さしのぎの朝茶を楽しむ。
朝茶の席には軽快な装いがふさわしい。単彩でまとめた装いが、ひときわ涼やか。
●夏生地(絽、紗、麻などの透けた薄物)着物【附下・色無地・ぼかし染め】※帯は夏帯。
【八月】
油照り、イラ蒸しのつづく夏の盛り。露地の蝉時雨を耳に、秋を思う風趣
夏姿は、清潔感と見た目の涼しさが第一。色彩と文様と風の通るような着こなしを。
●秋を待ちかねる心を描写したもの、見た目にも涼やかな上布の着物【附下・色無地・上布】※帯は夏帯。
【九月】
中空にかかる月を仰ぎつつ、稔の秋に感謝する茶会。
残暑厳しくても潔く秋頃のものおしゃれを。春夏とは違う、渋い色調が自然界にマッチする。
重陽の節句は、菊の花つくしの取り合わせ。
●亭主の菊尽くしを損ねないような柄を選んでください。渋めの風流なきものが映えましょう。【附下・色無地】
【十月】
深まりゆく秋の気配に、しんみりと詫びの情趣が漂う。
しみじみと古茶の一服をいただく名残の茶会には、表の華やかさより内なる豊かさ。
茶壷の茶も残り少なく名残惜しむ心、半年間慣れ親しんだ風炉とも半年お別れ。風炉への愛着と逝く秋を惜しむ心
●秋色の趣をきものの装いに映して【重厚過ぎない訪問着・附下・色無地】
【十一月】
茶臼の軋り、煮えたぎる釜の音、茶の湯の信念が厳かにはじまる。
茶の湯の世界の一番厳かな茶事ですから、格調の高い装いを
●「口切り」は茶の湯の世界のお正月、格調の高い装いに、秋らしさを漂わせて【重厚過ぎない訪問着・附下・色無地・色留袖(比翼なし)】
【十二月】
去来する年に思いを馳せて、寸時の静寂に、今年最後の一服を味わう。
多忙な年の瀬に忙中の閑を楽しむ歳暮の茶趣。
●一年間の恩恵に感謝しつつ汲む年忘れの茶【附下・色無地】
●クリスマス茶会や社中の茶会に【小紋・紬】
〈茶席の着物と和敬清寂〉
お茶歴史がはじまったころから、着物は今日のような小袖という形に落ちついてきました。
お茶と着物が、それぞれの時代を経て、洗練されつくしてきたといえます。
着物とは深いつながりがありますが、当時の茶人は、表立っては男性でしたので、正式には実徳を着ます。
流儀によっては袴をつけるといった約束事がありました。しかし、婦人の着るものには、特に難しい決まりはないと聞いています。
それなら何を着てもいいかというと、やはりお茶という「和」と「清」のひとつの世界を生活の中に求めるのですから、その調和を乱すようなきもの姿にならないように心がけたいと思います。
ほんとうに茶道の心得の深い人は、他人の服装をあげつらうこともないと信じますが、その場にふさわしいものを着なければ、ひとり浮きあがってしまうこともありましょう。ときには、主催する方へ失礼になることもあります。
前もって、主催者や先生、同席する人々と打ち合わせることが大切です。
紋を付けたきものを着ることで、相手に対する「敬」の精神を表現することにもなります。
着物と帯のとりあわせで、格式を守ることもできます。
お茶を習う女性が着物選びをするのに、茶会の趣旨を考えて、茶室の広さに応じ、時候に合わせた装いをすることは大切なことで、これもお稽古のうちと思います。
年月とともに洗練され、やがて迷わないようになり、着物姿の動作にもしっとりとした味わいが自然に身について、茶室の「寂」を感じるようになるのではないでしょうか。
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