文:富澤輝実子
黒留袖の着用シーンと着こなし
黒留袖の着用場面
通常は婚礼の場で新郎新婦の母親、祖母、伯母・叔母、既婚の姉妹、既婚の従姉妹などが着ます。それ以外の一般のお客様は着られない着物ですので、濃い身内の方は是非お召しいただきたいものです。
胸の大きくあいたパーティドレスのお似合いになるミセスもおられますが、困ったことに西欧のパーティドレスでは肌を見せたデザインのほうがフォーマルなため、華奢な日本女性はあばら骨や首のシワが目立ってしまうのです。大抵の方は胸のあいたドレスよりも留袖のほうが品格と優雅さを感じさせる着姿となります。
婚礼以外の場面としては、和のお稽古(茶の湯、日本舞踊、邦楽など)のお相伝や舞台などで着用されています。
黒留袖の模様
おめでたいとされる、松竹梅、鶴亀、宝尽しや御所解き模様、琳派模様、鳳凰、扇面、几帳、御所車などの華やかで優美なものが多く見られます。
黒留袖の帯合わせ
留袖用として、一般の帯よりも格調高い色柄の立派な袋帯が用いられます。模様は吉祥の意味合いのある松竹梅、宝尽し、亀甲、蜀江(しょっこう)、鳳凰、菱、格天井、正倉院華文などが合わせやすいようです。帯の地色は:金、銀、白金など。